大阪市教育委員会に提出した意見書を、ご紹介します。 (2013年9月27日 提出)
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繰り返される「校長先生の不祥事」に、保護者は胸を痛めています
「公募校長」制度を、根本的に再検討してください
  ――― 何よりも 子どものことを一番に考えた教育制度 と 学校を望みます ―――

大阪市教育委員会 御中 

     2013年9月27日     .

発言する保護者ネットワーク from 大阪
  【連絡先】 〒534-0024 大阪市都島区東野田町1-6-16
   ワタヤ・コスモスビル6階 大阪京橋法律事務所気付
   電話 06-6167-5270   FAX 06-6351-3603
           (代表  大前ちなみ)

  最近の報道によれば、民間から公募された大阪市立小中学校の校長先生の不祥事が発生しているとのことです。自分のやりたいことができないからと3カ月で辞職した校長先生や、保護者・子どもにセクハラ発言をした校長先生など、報道されている内容には驚くばかりです。
  11人の公募校長のうち過半数の6名が問題を起こしたり辞職したりしているというのは、単なる偶然ではなく「公募校長」という制度自体に問題があるような気がします。
  私たち「発言する保護者ネットワークfrom大阪」の保護者の間には、いろいろな意見があります。しかし共通しているのは、「今のままでは、子どもが安心して学べる学校にならない」という切実な思いであり、現状への不安と疑問です。

  私たち保護者は、大阪市教育委員会および大阪の教育に関わる全ての人たちに、少なくとも次の二点を真剣に考えていただくよう求めます。

 公募された校長先生が不祥事を起こしている現状を直視し、今のままの公募校長制度を漫然と継続するのではなく、根本的な再検討をしてください。
 成果、競争、マネジメントばかりに目を向けるのではなく、子どもたち一人一人に目を向ける教育者としての自覚をもった人が校長になれる制度設計を望みます。

  具体的には、以下のように様々な声が寄せられています。ぜひ、現役の子育て世代の声を、子どもを毎日学校に通わせている保護者一人一人の声を、しっかり受け止めてください。


≪保護者の声≫

公募校長の不祥事が相次ぎ、一保護者として、とても悲しい気持ちでいます。私の子供が通う中学校は、とても残念なことに、荒れた状態にあり、子供を安心して通うということさえ、困難を伴う現状にあります。そういう学校に、学校現場を経験していない校長先生が来たら、どうなるのでしょうか?学力を上げたり、英語教育に力を入れるなども、とても大事なことかもしれませんが、まずは、子供達が安心して通える学校作りから、してもらいたいと思います。(小5、中2、高3の母)

公募校長のいちばんの問題点は、子どもを見ていない人が選ばれていること。わが淀川区の“公募”区長も、区民ではなく市長の方を向いていらっしゃいますが、よく似ています。子どもを、野心家の自己実現の“材料”にしないでください。(小学5年生の母)

新聞で現職の教頭先生から校長先生への採用枠が少ない事を知り大変驚きました。長年激務をこなされ、経験豊富な現職の教頭先生の採用枠をもっと増やして下さい。その方が子どもも保護者も安心です。公募は教頭とし、45歳以上でそれを5年以上勤めた者のみ校長とする等、採用条件を厳しくすべきだと思います。(大1、中3の母)

校長採用論文の課題が @学校選択制の元で選ばれる学校づくり A学力向上について Bいじめをなくす方策 となっています。人を育むうえで最も大切な人権意識を問うていないことが気になります。大阪市は支援が必要な子もともに学ぶインクルーシブの先進地ですが民間で活躍されてきた方に障害児教育のノウハウはあるのでしょうか。あるとしたらいつ、どうやって問うのですか?(保育園児の母)

国連・子どもの権利委員会から3度も勧告を受けている日本。その中でも特に、日本の教育システムが、あまりにも競争的という懸念が示されています。それに反して今の大阪の教育施策は(公募校長制度・学校選択制)教育現場の競争意識を、いっそう煽っているようにしか思えません。(社会人と大学生の母)

公募校長の不祥事があって、選択制が実施されれば、公募区長のいる学校は避けられるでしょう。 学校選択制、公募校長など、目的とビジョンに対する手段とプロセスがちぐはぐすぎます。橋下市長の当初のいろんな発言で、失敗すればその時、やり直せばいいと仰ってたのではないですか? 11人中6人が不祥事というのは明らかに失敗です。子供達にそんなリスクを負わせたくはありません。大人には数年でも、子供らには一生に関わります。(小5、小6の父)

公募や採用の方法以前に、大阪市の教育理念に不安を覚えます。その理念に沿った『人材』は、子どもの方を向いていません。どうか理念ごと再考してください。(保育園児、小2、小4生の母)

私は、我が子がお世話になる学校の校長先生には、学校の現場をよく知り、教育に造詣が深く、現場の先生方に信頼される人格者を望みます。(中3、小5の母)

教育、実務、子育てのプロに学校長を担って頂きたい。トップに立つ前に現場で綿密な研修期間を設けるのは当然ではないでしょうか? これまで市教委が大事にしてきた大阪の教育を、今後も市教委がしっかり主導していく上での「改革」にならんとアカンのとちゃいますか。(9歳、5歳、2歳の父)

「民間の常識を教育現場に取り入れる」という言葉で始まった公募校長制度ですが、実際に起きたのは「民間では通用しない非常識な不祥事」でした。教育現場に必要なのは、数値目標を達成するマネジメント力ではなく、一人一人の子どもと向き合える人間性だと思います。その根本部分が、民間公募制度には欠けています。(9歳、7歳、4歳の父)

無資格の「公募弁護士」・「公募医者」制度もつくりますか? 大阪の「公募校長」は、せめて教員免許所持を条件にしてください。(中1・小5の子を持つ保護者)

公募校長の不祥事。ハラスメントは、他者への尊重の意識の欠如で、尊厳を犯す行為、人権侵害だと思います。教育者にとって、最も重要で不可欠な相手を思いやる気持ちの欠けた人が、教育現場の長であり続けることは認められません。即刻、免職にして頂きたいと思います。採用についても疑問があります。採用試験や面接だけで、人格的に不適合な人を見つけ出すのは不可能といえるでしょう。ヘッドハンティングならともかく、自己申告の経歴をどうやって検証するのでしょうか?募集で採用した人に破格の給料を渡すことも納得できません。(18歳、20歳の子の母)

セクハラ校長が「研修を受けてやり直す」ことは,形式上は可能なのかもしれません。でもこどもにとっては,「先生との出会い」を含む学校での一日一日は,すべて一期一会。どの時間も,どの一日も,やり直しがきかないことを考えると,セクハラ校長の学校でのやり直しは,現実として考えられません。そもそも,先生は教育の専門職。なのに,専門知識どころか,それ以前の『一般常識レベルのモラルや感覚』すらない人が,いきなり校長という教育の専門職の『長』に就くことには,疑問を感じます。他にも,公募校長の不祥事は相次いでいて,保護者として,とても不安です。最小限でも,今春の校長の公募採用は「即刻凍結」が必要ではないでしょうか。(中学生の母)

民間出身校長に対する保護者の不安は、まず、その方が子供のことをどれだけ知っているか、具体的には、子供がどのように成長していくのか、発達心理学などの最低限のところ位は、何かの方法で知識の確認(たとえばテスト)をしていただきたいです。こういう知識は、教育、教授方法についてはアマでも、マネージャーとしては、必要だと思いますので。どんなにいい人、熱意ある人でも、子供の発達・育ちについての知識が乏しいままマネジメントに望むのは、胃腸の悪い患者に、心電図をとる医者のようなものでしょう。(7歳児の母)

リレーで負けているのに、娘が頑張ったことの方を一緒に喜び合ってくれていた小学校時代。言葉のない娘の気持ちを想像することで、互いの気持ちを考えるようになったと聞いた中学校時代には、不登校の子はいなかった。
子ども達から学ぶことは多々あるのに、子ども達から学んだ経験のない方が学校責任者で本当にいいのでしょうか?(障害を持つ高校生の親)

子どもたちは、校長先生が、どんな大人であるか、大人として、どうあろうとしているか、その心持ちを敏感に感じとっていると思います。どの不祥事も、大人のふるまいではありません。教育者として最も大切なものが欠けています。まして、選ばれた校長先生が…どうして、そんなことしたの? 親として、子供の問いに答えられません。 苦痛です。高い確率で不祥事が出た公募、について、ただちに足を止めて検討頂くようお願いします。(小2 2才の母)

公募校長の採用に関して、35人などといった、事前の人間性も見ないで考えた、『枠ありき』の採用を行うのでは無く、本当に必要と思える人材に限った採用に切り替えて下さい。そして、人を選ぶ教育委員会としての責任や、任命する側の責任もきちんと考えて制度を運用して下さい。ここで言う責任の話は例え、教頭経験者を校長にする場合でも、同じだけの責任を大阪市教育委員会と大阪市は背負う必要があることは言うまでもありません。
  私のよく知る、私が尊敬している校長が、子どもに向き合う時の心構えとして、話してくれた言葉があります。『校長である前にひとりの教師、教師である前にひとりの大人、大人である前にひとりの人間。ひとりの人間と人間として子どもには向き合え』という言葉です。橋下市長の言うように、教師上がりの校長にもダメな人はいるのでしょう。しかし、子どもに教育をする“学校”という場の、そして、すべての子どもの学習権を保証する義務のある公立学校の最高責任者に『僕のやりたい教育が出来ない』などと、子どもたちを投げ出す人を選んだり、保護者にセクハラ発言をする人間を選んだりした事には、あなた方、大阪市教育委員会には重大な責任があります。教師として子どもたちと永年向き合って来た経験を持ち、教育委員会としても人物評価が行いやすい人間が、たくさんいる中で、あえて外部の人間を入れるからには、自らの組織の人物評価については、命をかけるくらいの責任を持っていただきたいです。また、教師の中に校長や教頭に成りたいというモチベーションを失わせる事が、何年も先を見すえて大阪市の教育をよくする事に、真の意味で役立っていると考えているのでしょうか。今一度、公募校長の制度について自分達自身が背負っている、大阪市民に優れた教育の場を与えるという、当たり前の責任を持って再考して下さい。(保育園児の父)


  以上のように、「公募校長」の制度と現状に対して、さまざまな不安や疑問が出されています。こうした声を受け止めていただき、よりよい教育が実現されることを強く願っています。

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